相続法の改正 昭和55年以来約40年ぶり ①

相続法の改正 昭和55年以来約40年ぶり ①

改正その一

自筆証書遺言の要件緩和(2019年1月13日施行)と遺言書保管制度の創設(2020年7月1日施行)

1.自筆証書遺言の要件緩和

(1)現行法の自筆証書遺言

全文自筆が要件・・・遺言書本文だけでなく、遺産目録も全て自筆であることが必要

(2)改正相続法のもとでの新ルール

「自筆証書の本文と一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を貼付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録を記載した紙面(自書によらない記載が両面にある場合には、その両面)に署名し、印を押さなければならない。」の、文言が追加になりました。

遺言と一体である財産目録は、自筆でなくてもよく、パソコン印字、登記簿や通帳のコピーもOKになりました。

 

2.遺言書保管制度の創設

自筆遺言証書は、遺言書を発見した場合には、開封する前に家庭裁判所の検認を受けなければなりませんでした。検認を受けるには2~3か月の期間を要しました。また、遺言書が見つからなかったり改ざんされるということも起こりました。

「法務局における遺言書の保管等に関する法律」の制定

(1)遺言者による遺言書保管申請

遺言者が自己の住所地又は本籍地を管轄する法務局に自ら出頭して行わなければならない。

 → 遺言書保管制度は、当該遺言が遺言者本人によって作成されたものであることを確認する。

(2)保管の対象となる遺言書

  自筆証書遺言書のみ。しかも無封の自筆証書遺言に限る。

(3)遺言書にかかる情報の管理

 遺言書の情報管理は、次期ディスクをもって調整する遺言書保管ファイルに、①遺言書の画像情報、②遺言書に記載された作成年月日、③遺言者の氏名、出生年月日、住所及び本籍(外国人の場合は国籍)、④遺言者に遺贈や遺言執行者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所、⑤遺言書の保管を開始した年月日、⑥遺言書が保管されている遺言書保管所の名称及び保管番号等を記載する。

(4)遺言者が死亡した後は、相続人、受遺者、及び遺言執行者(関係相続人等)は、遺言保管間官に対し、遺言書保管ファイルに保管されている事項を証明する「遺言書情報証明書」の交付を請求することが出来る。

  関係相続人等は、遺言者の生前中は、遺言保管官に対して、遺言の有無等を確認できるわけではありません。

(5)遺言書閲覧請求

 遺言者死亡後に限って、遺言者保管官に対し、遺言書保管所に自己に関係する遺言が保管されているか否かの確認を求めることが出来るほか、「遺言書保管事実証明書」遺言書に記①載されている作成年月日、②遺言書が保管されている遺言書保管所の名称と保管番号を記載した書面)を求めることができる。

(6)遺言書保管制度を利用した遺言書については、家庭裁判所による検認手続きが不要となる。

(7)遺言書保管制度の係る費用については、数千円程度かかるといわれています。

 公正証書遺言書の手数料は、財産の価額により異なります。例えば、5000万円から1億円までは43000円かかりますので、費用を抑えることができます。

 

自筆証書遺言の注意点

財産目録は、自筆しなくてもいいですが、本文は自筆です。自分で書ける力が必要です。

保管する法務局に出頭するのは遺言者自身です。委任状があっても通用しません。法務局まで行ける力が必要です。

自筆証書遺言する場合には、元気な今の内に!

 

 

 

 

2019年07月15日お知らせ
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